こなひき太郎のkindle日記

人文社会系のkindle書籍をレビューします。

今週のお題「いま学んでみたいこと」―オブジェクト型の学びとメゾット型の学び

はてなブログには「今週のお題」という機能があるようです。このブログと関係しそうな話題がテーマになっていたので、少しだけ自分の考えていることを書いてみたいと思います。

 

 

学問にはオブジェクトとメゾットがある

 さて、当たり前のこと述べるようですが、何かを研究するときには必ずオブジェクト(対象)とメゾット(方法)を選ぶ必要があります。これは学問の分類にも関係しています。たとえば、政治学という学問は、政治社会学や政治哲学などの分野を含みますが、これらの分野では政治というオブジェクトが社会学や哲学というメゾットで研究されています。その点で、政治学はオブジェクト型の学問であり、社会学や哲学はメゾット型の学問であると一応は言うことができるでしょう。

 もっとも、ある学問がオブジェクトとなるかメゾットとなるかは場合によって異なります。教育法という分野は教育という対象について解釈法学というメゾットで研究する分野であると言えるでしょうが、法社会学は法という対象について社会学というメゾットで研究する分野です。

 

大学(院)での学びはメゾット型になりがち

 一般論として、大学での学びはメゾット型であることが多いと思います。社会学や哲学のようなメゾット型の学問は独立した学科を持つことが多いです。法学・経済学のようなメゾットとオブジェクトの両面を持つ学問を教える学部でも、法哲学や経済倫理学のようにその学問がオブジェクトとして扱われる分野よりも、憲法ミクロ経済学のようにメゾットとして扱われる分野を中心として教育が行われている場合がほとんどです。

 これは、大学院においては、学問の研究をするためには、まず研究方法を身につけなければいけない以上、当然のことと言えるかもしれません。しかし、大学の学部教育において、特定の研究方法を身につけることはこれほど優先されるべきでしょうか。むしろ、特定の対象について、いくつかのメゾットを用いて色々な角度から分析できることのほうが、おそらく社会で生きていくうえでは重要なのではないでしょうか。

 国立大学において人文社会学系の学部定員が削減され、理系の学部が拡張されるというニュースが話題になりました。しかし、工業や農業、医療といったオブジェクトに対しても、法学や経済学、倫理学社会学といった学問はメゾットとして有効であるはずです。研究機関としての側面が強い大学院と教育機関としての学部を同じ組織の分け方で運用するやり方を変え、従来理系に分類されてきたオブジェクトに対するメゾットとしての価値を社会に示さないかぎり、人文社会系の学問が生き残る術はないと思います。

 

学生も、オブジェクト型とメゾット型双方の学びを意識すべき

 さて、学部・大学院と、私はメゾット型の学問を学ぶ学科・専攻に在籍してきました。これは研究のための能力を身につけるうえでとても価値あることでしたし、自分のある視点からの分析力を深めてもくれました。しかし、同時にあるオブジェクトについてひとつの視点からしか考えることができないのは、視野を狭めてしまっているのかもしれないと思います。

 このブログを作った同期もそこにあります。自分の専攻していない学問について、一般向けの本でもよいので少しでも幅広く読み、アウトプットをすることで、いろいろな角度からオブジェクトを捉えることができるようになりたかったのです。もちろん、専門の勉強のほかに、アルバイトやとある試験の勉強も平行して行っているので、割ける時間は限られていますが、できるかぎり勉強していきたいと思います。

 

 すごく抽象的な書き方になってしまいましたが、私が学んでみたいことは、「オブジェクト型の学び」です。